本プロジェクトは、文部科学省の特別経費による支援を得て、2012年度から2015年度の4年間、実施されました。正式名称は、「巨大地震津波災害に備える次世代型防災・減災社会形成のための研究事業-先端的防災研究と地域防災活動との相互参画型実践を通して-」です。東日本大震災が突き付けた重い課題、特に、防災・減災研究と社会や暮らしとのかかわりに焦点をあてて実施したものです。

研究者や専門家が新たに得られた知見を実際の防災に十分に生かすことができていなかったことは東日本大震災の被害から明らかです。研究者や専門家からの情報発信やアウトリーチも不十分なものでした。一方で、地域の防災活動に取り組まれている地域住民の方々が感じていること、知っていることの中にも、研究者や専門家にとって大切なものが含まれているにも関わらず、それが十分に生かされてきたとは言えません。南海トラフや首都直下型地震、大規模な気象災害などの巨大災害への備えをより確かなものにするためには、専門家と非専門家の垣根を越えて、ともに協力しながら進める次世代型の防災・減災の取り組みが不可欠です。

このような背景のもとで、京都大学防災研究所を拠点に、巨大災害に備えるために、防災・減災の最先端の研究と地域の防災活動をつなぐ「情報」、「場」、「人材」を、専門家と非専門家が協働しながらつくりあげることを目的としたプロジェクトとして開始され、多くの研究結果を発表いたしました。

4年間の研究成果をまとめた代表的なものとして、「現場(フィールド)でつくる減災学―共同実践の五つのフロンティア― 矢守克也・宮本匠(編) 新曜社」を2016年2月に出版いたしました。ぜひご一読ください。