Collaborative Community Weather Information & Disaster Potential Research

本研究は、香川大学竹之内研究室と連携して進めています。

詳細はこちら→https://bosaiswitch.net/wp/(竹之内先生のサイト)

多くの災害情報は、専門機関がその責任を担い、その精度向上や情報改善が進められてきました。そして、利用者にはその情報を適切な利用が求められています。しかしながら、我々は十分にそれらの気象情報を利用できているでしょうか。毎年のようにどこかで災害が発生しますが、そのたびに同じような課題が挙げられ、同じような改善が繰り返されています。

地域気象情報の研究は、専門機関ではなく、主に個人やコミュニティを単位として、利用者自身が改めて気象情報と自分たちの関係を見つめなおし、今後の社会における気象情報のあり方を問い直す試みです。専門家や住民など複数のステークホルダーの考えを災害リスクコミュニケーションの形成を通じて共有し、気象情報が真に利用される社会システム「地域気象情報の共同構築」を探求しています。

地域気象情報の概念も研究を重ねる中で、いくつかのパターンが現れるようになりました。例えば、地域気象情報を利用者と気象情報の関係から見た場合、気象情報を自分たちの表現や地域のリスクを示すものに置き換えて共有するもの(初期の地域気象情報:例三重県伊勢市中島学区)、行政側が地域性の高い重要な情報を絞り込んだり、コミュニティ側で必要な情報を選択したりするもの(ローカルエリアリスク情報:例京都府福知山市)、地域性の高い情報を得るためにコミュニティにおいて観測を実施するもの(ローカル観測情報:例 高知県四万十町大正地区)などが挙げられます。災害リスクコミュニケーションを通じて、気象情報が一人ひとりの中でどのように変化し、そのために社会がどのように変わっていくか、地域気象情報の研究を通じて、新たな気象情報の世界を展望していきます。

また研究では、気象情報の活用方法にも新たな活路を見出そうとしています。我々は気象情報を将来のためにこれから気象災害が起こりうるのかどうかという視点(フォーワード)でのみ利用しがちです。しかし、一方で、気象情報は不確実性を持っており、そもそも当たるかどうかもわからないものです。そのような不確実性を将来ではなく事後的に利用する(バックワード)試みとして、「災害ポテンシャル」の研究を進めています。豪雨など、顕著な気象現象が発生した場合、同じ予測でも結果的に予測以上のことが起こり災害につながったり、結果的に予測未満に留まり災害が起こらなかったりする場合があります。しかしながら、両者はともに災害が十分起こりえた災害ポテンシャルが高かった地域でもあったわけです。災害が起きるときは、例えば99回何度となく災害リスクが高い事例を繰り返す中で、偶然そのうちのどこか1回で災害が発生してしまうようなことがあり得ます。しかしながら、我々は災害が起きたその1回だけに注目し、それ以外の災害が起きなかった99回には目も向けず、忘れ去っていくことが多くあります。このような災害事例をFACPモデルで整理し(F: Fatal, A:Accidental, C: Critical, P: Potential)、災害が起こる可能性は高かったが、災害が起こらなかった99回(P事例)に光を当て、災害ポテンシャルは高かったという事実を基に、気象情報を過去を振り返るものとして利用することによる社会的な効果を検証しています。